放課後に軽音楽部(正しくは同好会)の集まりがあった。
集まったのは6人。アットホームな雰囲気だったと思う。
実際みんないい人だし、おもしろい話をする。
だけど僕はそれにいまいち馴染めなかった。たぶんちょっと疲れていたからだと思う。
それと雨の日特有のあのまとわり付くような暑さにやられていた。集中できなかった。
そんな訳で、僕は同じ教室にいながら特に話し合いに参加もせずそこらへんをウロウロしていた。僕は何かいい案を考えようとしてみたけど、焦点がうまく絞れなかった。
今の軽音楽部のおかれている状況はヒサンなものだ。部としてほとんど全く意味がない。

話し合いを終えたらしい5人は部の宣伝用の紙を書いていた。
僕は椅子に座ってそれを見ていた。

人数が少ないから部室がもらえないのか。部室があれば学校でバンド練習ができるのか。
今までが今までだからこんなこと思ったのかも知れないけど、実のところ僕はあまり部室がなくてもいいような気がする。学校でバンドの練習が出来る状況にまでするにはたくさんの労力とお金がいるからだ。スタジオに行くのと変わらない。

帰りはその6人で帰ることになった。少し雨が降っていた。僕は傘を持ってきたけど、盗まれていた。学校ではよくある話だ。
仕方なくそのまま濡れて帰った。
好意なのかふざけているのかわからないけど、何回か傘に入れてくれる人がいた。でも実際のところはあまり役に立っていなかった。

1つ1つのことは小さなものだ。それが集まれば大きなものになる。
そんな具合で僕は何故か怒っていた。何に対して?わからないけど、怒っていた。ほとんど全てのものに対して腹が立っていた。それは自分が実際に感じたことで嘘ではなかった。
「悪いのは怒ってる僕の方なんだ」と思った。第3者の視点から言えば、本当のところは誰が悪いかなんてわからないはずだ。そしてきっとそれは考えるのも無駄なことなんだろうと思う。

駅まで6人で一緒に帰ってその後別れた。僕は雨に濡れたままバス停でバスを待っていた。
髪型が変になっている気がしたけど、直さなかった。もうどうでもいい気分だった。
家の近くでバスを降りて、歩いた。昨日も間違ってバスを降りて同じ道を歩いた。
水溜りが嫌だった。