私が生まれ育った町…それは都市を知った風な田舎だ。高層マンションや団地、チェーン店、中心には“郊外”侵食を進める大手スーパー。
町というのはそこに住む人々によって半ば形成される。彼らの感覚は私には解し難い。昔からそう思っていた。
同世代の人達に対しても同じような印象を受けた。図らずも指導者になった事もあったが、やはり私の望むところでは無かった。
私は長い間、火花を散らす程の肉体的・精神的対立を欲していた。しかし、現実には摩擦さえ起きなかった。
然らば、私がこの地を去るのが順当であって、わざわざ文句を垂れながら飯を食わなくても良い訳だ。
この理想郷は私のために作られたものではない。なぜなら私は現実を現実としか見られないからだ。

私は信じるものに対して、絶対の自信を持って生きている。私の絶対とは無知でもなく、また崩壊もしない本当の意味での絶対なのだ。